春祭り(読み)はるまつり

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「春祭り」の意味・わかりやすい解説

春祭り
はるまつり

春に行なわれる祭り,行事の総称および通称。本来,旧暦 1月から 3月または立春から立夏までが春であり,この期間に行なわれる祭りのなかで,元日から小正月の期間を中心に多くは 7日間にわたって行なわれる修正会と,2月に行なわれる祈年祭は,春祭りの性格を代表する祭りといえる。修正会は,新年(新春)を迎えて悪疫をはらい豊作や世の中の幸福を祈り予祝する行事で,本来は寺院の行事だが,滋賀県で特に多く行なわれている村の行事のオコナイも修正会の一種であり,各地の神社で行なわれている稲作の過程を演じる田遊びも,修正会の行事の一部として行なわれてきたものが少なくない。一方,祈年祭は古代律令時代以来行なわれている一年の安泰幸福を祈る神事で,「としごいのまつり」とも読まれる。「とし」は年であるとともにイネのことも意味し,11月の新嘗祭と対応する豊穣祈願の神事としての性格が強い。これら 2種類の祭りにみられる除災招福と豊穣予祝という意味が,多くの春の祭りや民俗行事にみられ,小正月の頃を中心に作物や世の中の吉凶を占う粥占も各地で行なわれている。また,農耕の始まる前に神が村々をめぐる石川県羽咋市気多大社(けたたいしゃ)の平国祭(へいこくさい。毎年 3月18~23日)のような祭りもある。

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