景観緑三法(読み)けいかんみどりさんぽう

知恵蔵 「景観緑三法」の解説

景観緑三法

2005年6月1日をもって全面施行された「景観法」、「景観法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」「都市緑地保全法等の一部を改正する法律」の3法の総称。なかでも重要なのが基本法としての性格を持つ「景観法」で、「美しく風格のある国土形成、潤いのある豊かな生活環境の創造及び個性的で活力ある地域社会の実現を図り、もって国民生活の向上並びに国民経済及び地域社会の健全な発展に寄与すること」を目的に据え、「魅力ある国づくり」のために国土交通省が積極的なイニシアチブを執ることをうたっている。地域の景観に対しては、従来各地の自治体が独自に基準を設け、条例を制定して対応してきたのだが、同法が施行されて後は、都道府県などが指定した「景観計画」の指定区域内での建物建設に一定の制限が設けられ、また住民や街づくりNPOによる「景観計画」への積極的な参加が求められるなど、景観に対する取り組みの変化が促されるようになった。小泉元首相がほのめかした日本橋首都高速道路の地中埋設プランなども同法の延長線上にあるものと推測されるが、国家が景観に「介入」する結果につながるのでは、と同法の理念疑問視する声も聞かれる。「美しい景観を創る会」などの任意団体による議論も活発に行われている。

(暮沢剛巳 建築評論家 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「景観緑三法」の意味・わかりやすい解説

景観緑三法
けいかんみどりさんぽう

景観法(平成16年法律110号),景観法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成16年法律111号),都市緑地保全法(→都市緑地法)等の一部を改正する法律(平成16年法律109号)の総称。2005年全面施行。良好な景観は国民の共通資産であるという基本理念のもと,国民,事業者,行政の責任を定め,地方自治体の自主的な取り組みに対して支援を行ない権限を強化するとともに,都市部,農山漁村,自然公園などにおいて建築物,町並み,屋外広告物などを整備・規制する総合的な法律。これにより積極的に景観の改善を推進する行政団体,政令指定都市中核市は「景観行政団体」となり,景観計画の策定や景観地区の指定を行なう。戦後の急速な都市化によって歴史的景観や緑地との調和,地域の特性が失われたことに対する危機感が増大したものの,法的制度が未整備であったことから制定された。

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