ダームスタチウム(読み)だーむすたちうむ(英語表記)darmstadtium

翻訳|darmstadtium

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダームスタチウム」の意味・わかりやすい解説

ダームスタチウム
だーむすたちうむ
darmstadtium

周期表第10族に属する人工元素で超フェルミウム元素一つ原子番号110の元素。元素記号Ds。名称は発見された場所ダルムシュタットdarmstadt(ドイツ中部の都市)にちなむ。1994年ダルムシュタット重イオン研究所のホフマンSigurd Hofmann(1944― )らが鉛208(208Pb)にニッケル62(62Ni)を照射してダームスタチウム269(269Ds)を得た。これはα(アルファ)崩壊してハッシウム265(265Hs)、シーボーギウム261(261Sg)、ラザホージウム257(257Rf)、ノーベリウム253(253No)を生成する。さらにその後1998年同じグループは鉛208(208Pb)にニッケル64(64Ni)を照射してダームスタチウム271(271Ds)を得た。これらのうち最長寿命の同位体の半寿命は55ミリ秒であった。

 このほか1995年にはアメリカカリフォルニア大学ローレンスバークリー研究所のギオーソAlbert Ghiorso(1915―2010)らはビスマス209(209Bi)にコバルト59(59Co)を照射して267110(質量数267の110番元素)を得たと報告し、また同じ1995年ロシアのドブナ原子核研究所などのラザレフY. A. Lazarev(1946―1996)らはプルトニウム244(244Pu)に硫黄34(34S)を照射して273110を得たと報告している。しかしこれらはいずれも確認されなかった。

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ダームスタチウム(データノート)
だーむすたちうむでーたのーと

ダームスタチウム
 元素記号  Ds
 原子番号  110
 原子量   (269)
 融点    ―
 沸点    ―
※括弧内の数値は原子量ではなく、同位体質量数の一例

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ダームスタチウム」の意味・わかりやすい解説

ダームスタチウム
darmstadtium

人工元素の一つ。元素記号 Ds。原子番号 110。1994年ドイツのダルムシュタットにある重イオン研究所 GSIのジグルト・ホフマンらが,鉛208にニッケル62を衝突させて質量数 269の 110番元素を得た。さらに同グループは 1998年,鉛208にニッケル64を衝突させて質量数 271の 110番元素を得た。発見された場所ダルムシュタットにちなんで命名された。

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