曽我蛇足(読み)ソガダソク

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「曽我蛇足」の意味・わかりやすい解説

曽我蛇足
そがじゃそく

画家。「だそく」ともいう。この蛇足については諸説があり、不明な点が多い。一説には室町末期の画家で、1491年(延徳3)京都・大徳寺真珠庵(あん)の襖絵(ふすまえ)『四季山水図・四季花鳥図・溌墨(はつぼく)山水図』を描いたとされるが、近年の研究では、「蛇足」はある特定の画人をさすものではなく、曽我家の代々の画家がその画業を継承したことを意味する別号(軒号)であったとの見方をしている。初代兵部墨渓(ぼっけい)以下、式部宗丈(そうじょう)、兵部紹仙(しょうせん)、宗誉(そうよ)と、この号は受け継がれた。前記の真珠庵襖絵を制作したのはこのうちの2代式部(夫泉)宗丈で、越前(えちぜん)(福井県)の朝倉家の家臣の出である初代墨渓を父とし、朝倉家と一休宗純(そうじゅん)との深い関係から、一休の塔所である真珠庵の襖絵を描いたと考えられる。墨渓の師、周文の様式に学びつつも、周文流にはみられない枯淡な画趣に特徴がある。なお「赤蠅(せきじょう)」印をもつ『山水図』(群馬県立近代美術館)が数点伝わり、作風から真珠庵襖絵の作者と同一とみられている。

榊原 悟]

『源豊宗著『日本美術絵画全集 3 曽我蛇足』(1981・集英社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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