球体面の上に、月面と同様な地形や模様を書き入れたり彫刻したりした月の模型。1959年にソ連の月探査機ルナ3号によって月の裏側の写真が撮影されるまでは、人類は月の半面しか見ることができなかったので、月球儀は半面のみしかつくることができなかった。1966~1978年の5個のアメリカの月探査機ルナ・オービタの活動によって、月のほぼ全面の詳細な近接写真が地球上にもたらされ、月全面についての精密な月球儀の作製が可能となった。月球儀は地球儀と異なり、特別な軸によって支えられることはない。普通、球体に月面地形を印刷した紙を貼(は)り付けて製作するが、東京・上野の国立科学博物館にあるものは石膏(せっこう)の表面を彫刻してつくったものである。
[関口直甫]
月の表面のクレーターや山脈,海などの地形を球の表面に記した模型。地球儀に対応する呼名である。月は地球につねに同一の半面のみを向けているので,反対側のいわゆる月の裏側は見ることはできない。しかし,この裏側も1959年10月にソ連のルナ3号探査機によって初めて撮影され,また66年から67年にかけて5回にわたって打ち上げられたアメリカのルナ・オービター探査機によって月の全面にわたる詳細な写真撮影が行われた。この結果,現在では月の全面の地形を記した月球儀が作られていて,市販されているものもいくつかある。地球儀同様,球の表面に地形がかかれているものも,また地形の凹凸を刻んだものもある。
執筆者:村山 定男
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