月面図(読み)ゲツメンズ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「月面図」の意味・わかりやすい解説

月面図
げつめんず

月の表面の地形模様を描いた図。世界最初の月面図は、磁石の研究で有名なイギリスギルバートが1603年に肉眼で月を観察して描いた。ガリレイは1609~1610年に望遠鏡で月を観測して図を描いたが、イギリスのハリオットThomas Harriot(1560―1621)もこれと同じ時期に同様な方法で月面図を描き、時期的にはガリレイよりやや早いといわれている。その後シャイナーは1612~1613年に、マラパート(1581―1630)は1616年に月面図を発表し、17世紀の中ごろまでに数多くの月面図がつくられ、現在もますます精密な月面図がつくられている。1966年から1967年にかけてアメリカの月探査機ルナ・オービタによって月のほとんど全表面が写真撮影されて、月の裏側も含めて全表面の月面図が作製され、またこの資料を使用して、NASA(ナサ)が精密な月面地形図をつくった。

[関口直甫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「月面図」の意味・わかりやすい解説

月面図
げつめんず
selenograph

月の表面の地勢を表わした地図。従来は地球からの観測だけの直射投影図がすべてであったが,人類の月面到着と無人探測機の写真撮影によって,地球と同様な図がつくれるようになった。月面上の暗い部分は月の海と呼ばれ,暗色の平原である。月の地形上最も顕著なものはクレータの存在で,これはガリレイによって初めて観測された。現在では月面上の多くのクレータに科学者などの名がつけられている。 1960年代以前は,月面図の多くは望遠鏡で見たとおりに南極が上になるように書かれていたが,現在では地球の地図と同じように北極が上に書かれる。月面図の経度原点は,月面の中心部にある「中央の入江」のなかの一地点にとっている。

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