木ノ俣川(読み)きのまたがわ

日本歴史地名大系 「木ノ俣川」の解説

木ノ俣川
きのまたがわ

那珂川上流支流で、延長一五・三キロ、流域面積は三二・三平方キロ。大佐飛おおさび(一九〇八・四メートル)黒滝くろたき(一七五四・一メートル)北方の水を集め、主として標高六〇〇メートル以上の山間を流れ、板室いたむろ油井ゆいの間で那珂川に合流する。流域にはほとんど人家はない。天明四年(一七八四)用水開発につき願書(光徳寺文書)に木野股川とみえる。

宝暦一三年(一七六三)頃木ノ俣川の合流点の一・五キロほど上流を取水口として、約四キロ南方村の穴沢あなざわ地区の飲用水とする穴沢用水が村普譜で開削された。穴沢は二五戸ほどの集落で、三〇〇―四〇〇メートル西方を流れる護安ごあん沢を利用していた(文化元年「用水開発につき願書」光徳寺文書)。川沿いの崖にトンネルや堀を掘る難工事で、完成時には村民は喜びのあまり三日三晩祝宴を催したという。明和八年(一七七一)穴沢の南東約一八キロの北弥六きたやろく村など一〇ヵ村、穴沢の東方約三キロの細竹ほそだけ村など二ヵ村から穴沢用水の延長の申入れがあり、穴沢は取水口から穴沢までの堀を拡張して水量を増加させるという条件で、翌九年に双方に延長された。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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