ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「木村浩」の意味・わかりやすい解説
木村浩
きむらひろし
[没]1992.10.30. 静岡,清水
ロシア文学者。1945年東京外国語大学ロシア語科を卒業。法政大学,横浜市立大学,東京大学で講師を務め,1987年静岡県立大学教授に就任。1960年代からロシア文学の翻訳,紹介に貢献。特に『イワン・デニーソヴィチの一日』Odin den iz zhizni lvana Denisovicha(1962),『煉獄のなかで』V kruge pervom(1968),『収容所群島』Arkhipelag Gulag(1973~76)などの一連の翻訳で,アレクサンドル・I.ソルジェニーツィンを日本に紹介した業績が高く評価されている。ほかにアレクサンドル・S.プーシキン,フョードル・M.ドストエフスキー,アレクセイ・K.トルストイ,アントン・P.チェーホフ,現代文学のイリヤ・G.エレンブルグなど,翻訳は多数に上る。1958年以来頻繁にソビエト連邦を訪問し,文学者,芸術家らと交流を重ね,『ロシア文学の周辺』(1971),『ロシアの美的世界』(1977)など,ロシア美術,教会建築,文化や風俗をテーマにした著書がある。1980年代に発表したソ連の閉鎖的な体制を批判した論文は『ソ連を視る目』(1987)などに収められている。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報