未来記(読み)ミライキ

デジタル大辞泉 「未来記」の意味・読み・例文・類語

みらい‐き【未来記】

未来に起こることを予言した書。
予言。〈和英語林集成
藤原定家作と伝える偽書「未来記」によくない風体和歌実例があるところから》和歌連歌で、表現趣向をこらしすぎて不自然になったもの。

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精選版 日本国語大辞典 「未来記」の意味・読み・例文・類語

みらい‐き【未来記】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 未来の出来事を予言もしくは空想して書いた書物聖徳太子に仮託されたものが名高く、終末論的な内容のものが多い。
      1. [初出の実例]「聖徳太子の未来記にも、けふのことこそゆかしけれ」(出典:平家物語(13C前)八)
    2. 転じて、予言。
      1. [初出の実例]「以前の搦手をからめ返し、せばめし者を随ゆべしとの未来記を、遂給ふ者也」(出典:ぎやどぺかどる(1599)上)
    3. ( [ 二 ]から転じて ) 和歌・連歌などで、表現や趣向をこらしすぎて不自然になったものをいう。
      1. [初出の実例]「首尾のかけあはぬ事のみ体に成侍べしと、戒め給ふ、未来記と申也」(出典:砌塵抄(1455頃))
  2. [ 2 ] 藤原定家作と伝えられる歌学書。春・夏・秋・冬・恋の歌各一〇首ずつ、計五〇首から成る。末代のよくない風体の和歌の実例とされる。

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世界大百科事典(旧版)内の未来記の言及

【四天王寺】より

…説経《信徳丸》の物語はこうした背景のうちに成立し,謡曲《弱法師(よろぼし)》や浄瑠璃《摂州合邦辻(せつしゆうがつぽうがつじ)》にひきつがれてゆく。 御手印縁起の内乱の予言=未来記は,12世紀後半にはじまる保元・平治の乱,源平争乱のなかで深刻にうけとめられ,当寺に深く帰依した慈円は《愚管抄》に記し,《平家物語》も未来記の予言は平家の都落ちをさすと述べた。承久の乱後,後鳥羽上皇の敗北を予言した石文が境内から出現し,藤原定家は日記に書きとめている。…

【無益委記】より

…3巻。聖徳太子作と伝える《未来記》に擬して,人王三万三千三百三十三代に当たるころの,役にも立たぬ未来記を見せるという構想のもとに,世相人事万般がすっかり移り変じた空想を描く。しかしそれが時代の現実を裏返した風刺的なものとなっているところに見るべきものがあり,黄表紙における未来記という類型的趣向を確立した。…

※「未来記」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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