本源マグマ(読み)ホンゲンマグマ(その他表記)primary magma

デジタル大辞泉 「本源マグマ」の意味・読み・例文・類語

ほんげん‐マグマ【本源マグマ】

初生マグマ

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岩石学辞典 「本源マグマ」の解説

本源マグマ

マントル上部あるいは地殻下部を構成する岩石が熔融して発生し,分化作用によって他のすべての多様な火成岩マグマが生成されると考えた場合に,これらのマグマを生じる起源となるようなマグマを本源マグマという.地球上には大量の玄武岩質岩石が産出するが,これらの岩石は大規模な産出にもかかわらずかなり均質で,互いによく似た化学組成を有している.このような岩質相互の類似性から地球に存在する多くの火成岩は玄武岩質なものに起因すると考え,玄武岩質マグマが本源マグマとして考えられた[Daly : 1925].ボーエンはこの考え方を火成岩成因論に取り入れて,本源マグマが結晶分化作用(crystallization differentiation)を行うことで岩石の多様性が形成されるということを主張した[Bowen : 1928].デイリイもボーエンも本源マグマは一種類とし,分化作用あるいは同化作用によって二次的に非アルカリ岩ができると考えた.この場合にアルカリ岩は地表では稀であることが強調されている.これに対して1933年にケネデイは二種類の本源マグマを考え,これらは化学組成と鉱物組成が少し異なると考えた[Kennedy : 1933].その一つ橄欖石玄武岩マグマ型(olivine-basalt magma type)で,分化してアルカリ岩となるマグマで,他方はソレアイト質マグマ型(tholeiitic magma type)で,分化して非アルカリ岩となるマグマである.本源マグマにどのような種類のものがあるか,どのように分化して何が形成されるか,ということについては多くの研究がある[Bailey & Thomas : 1924, Bowen : 1928, Tilley : 1950, Yoder & Tilley : 1962].

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「本源マグマ」の意味・わかりやすい解説

本源マグマ
ほんげんマグマ
primary magma

母岩漿ともいう。種々多様な火成岩もとになると考えられるマグマ。 N.ボーエンはマグマの分化作用によって多様な火成岩ができるとし,そのおおもとのマグマをさし,玄武岩質マグマを考えた。しかし,近年マントルの深さに対応して異なる化学組成の玄武岩質マグマが個別に発生するという考えが出てきて,この説では1種の本源マグマは存在しないことになる。

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世界大百科事典(旧版)内の本源マグマの言及

【火成作用】より

…これによると,いろいろな地質時代の多くの花コウ岩を生じた起源物質は,マフィックないし超マフィック(玄武岩質ないしカンラン岩質)のものであると推定される。
[マグマの分化と固結]
 上部マントルで発生したばかりのマグマを本源マグマとよぶ。発生したマグマは,上部マントルや地殻中の弱所を通ってしだいに上昇し,火成作用として現れる。…

【結晶分化作用】より

…ボーエンは,マグマというものは結晶作用の際に結晶と液との間に種々の反応関係を示す反応系であると考え,晶出する結晶と残液との間に種々の程度に分別が起こり,そのために反応の進行の程度に違いを生じ,このことがマグマの分化作用の最も本質的に重要な原因であると主張して,これを反応原理と呼んだ。
[本源マグマの進化]
 地殻を構成する多種多様の火成岩は一つの本源マグマから結晶分化作用によって生じたものであるというボーエンの主張をもう少し具体的に述べることにしよう。玄武岩質の本源マグマが地下の深所でゆるやかに冷却すれば,カンラン石,輝石,Caに富む斜長石などが結晶し,それらはしだいにマグマ溜りの下部に沈降し集積する。…

※「本源マグマ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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