杯洗(読み)ハイセン

デジタル大辞泉 「杯洗」の意味・読み・例文・類語

はい‐せん【杯洗/×盃洗】

酒席で、やり取りする杯を洗いすすぐための器。

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精選版 日本国語大辞典 「杯洗」の意味・読み・例文・類語

さかずき‐あらいさかづきあらひ【杯洗】

  1. 〘 名詞 〙 酒席で、杯を洗うために水を入れておくうつわ。杯澄まし。はいせん。
    1. [初出の実例]「少し呑みて盃洗(サカヅキアラヒ)に遣し」(出典浮世草子・風流曲三味線(1706)三)

はい‐せん【杯洗・盃洗】

  1. 〘 名詞 〙 酒宴の席で、杯を洗いすすぐために水を入れておくうつわ。さかずきあらい。
    1. [初出の実例]「盃洗へ水木の紋に浮た猪口」(出典:雑俳・柳多留‐一三六(1834))

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改訂新版 世界大百科事典 「杯洗」の意味・わかりやすい解説

杯洗 (はいせん)

杯を洗うため水を入れて酒席に置く器。〈さかずき洗い〉ともいう。明確な年代はわからないが,江戸後期から使用され始めたもので,寛政~天保(1789-1844)ころ世態の推移を書きとどめた《寛天見聞記》(著者不詳)によると,著者の幼いころの酒宴は〈鉄銚子(ちようし)〉と〈塗杯〉を使うのが通例であった。それが染付の〈徳利(とくり)〉と陶磁器の〈猪口(ちよく)〉を使うようになり,〈盃(さかずき)あらひとて丼に水を入れ,猪口数多浮めて詠(なが)め楽しみ……〉というように変化したのは〈近来仕出し〉,つまり最近はじまったことだとしている。また,1849年(嘉永2)版のはやり物番付に〈盃スマシノ丼〉として杯洗が挙げられていたことを《守貞漫稿》は伝えている。いずれにせよ,江戸後期からこの器が使用されだしたのは,他人が口をつけた杯を不潔とする意識が発生したためで,古くからの酒宴の儀式性が大きく退行したことを示すように思われる。
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食器・調理器具がわかる辞典 「杯洗」の解説

はいせん【杯洗/盃洗】

酒席で杯を交わす際に、杯を洗いすすぐための容器高台(こうだい)付きの陶磁器で、口が広く深い。

出典 講談社食器・調理器具がわかる辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の杯洗の言及

【酒器】より


[日本の酒器]
 酒を飲むために用いられる容器の総称。口に運んで飲むためのやグラス,それらに酒を注ぐための銚子(ちようし)や徳利(とくり∥とつくり)が主要なものであるが,杯を置く杯台,杯を洗うための杯洗(はいせん∥さかずきあらい),酒を貯蔵または運搬するために用いられる甕(かめ)や樽をも含む。ここでは酒を注ぐ器を中心に記述するが,日本でも古く土器のほかに酒器として用いられたものに,ヒョウタンやミツナガシワ(カクレミノあるいはオオタニワタリとされる)のような植物の実や葉,あるいは貝殻のような自然物があった。…

※「杯洗」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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