松井田村(読み)まついだむら

日本歴史地名大系 「松井田村」の解説

松井田村
まついだむら

[現在地名]松井田町松井田

新堀にいぼり村の東南にある中山道の宿村。蛇行する碓氷川左岸に位置し、松井田丘陵の南面を占める。碓氷川から段丘面までの比高があり、水路などがとくにないため水田経営は不可能で畑地としての利用しかできなかった。松井田丘陵が急峻であったため、古代東山道は松井田丘陵の北側を通っていたと考えられ、郷原ごうばら(現安中市)から国衙こくが高梨子たかなし新井あらい土塩ひじしお横川よこかわを経て入山いりやま峠に通じたと思われる。丘陵中央部の愛宕山あたごやま遺跡の焼失家屋跡からは、官人が有したと思われる遺物が出土した。

古活字本「平治物語」巻下(牛若奥州下りの事)に「上野国松井田といふ所に、一宿せられたりける」とみえ、また妙本寺本「曾我物語」巻五・巻一〇に、碓氷峠松井田宿板鼻いたはな(現安中市)道筋が載る。中世には上野・信濃両国を結ぶ道は入山峠北方、現在の大字とうげを通ったと考えられるが、同地熊野神社古鐘は、正応五年(一二九二)四月八日に「松井田一結衆」が奉納したものであった。歌謡集「宴曲抄(正和三年)には板鼻に続けて松井田があげられる。一六世紀になると松井田丘陵尾根上、新堀と高梨子にまたがる松井田城をめぐり諸勢力の争奪戦の舞台となった(→松井田城跡

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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