松井田城跡（読み）まついだじようあと

日本歴史地名大系

松井田城跡
まついだじようあと

• 群馬県：碓氷郡
• 松井田町
• 高梨子村
• 松井田城跡

[現在地名]松井田町高梨子・新堀

小屋（こや）城ともいう。南の碓氷川と北の九十九（つくも）川に挟まれ、東西に連なる標高三〇〇―四一〇メートルの天神（てんじん）山（城山ともいう）丘陵の尾根上に立地する。北山麓にはかつて東山道が走り、南山麓には近世の中山道松井田宿があり、碓氷峠を越えて信州から上野国に入る交通上の要衝にある。本丸を中心に西北西から東南東方向の尾根上の一線に約八〇〇メートルにわたって連郭式に郭が並び、この軸線を起点に北へ走り下る五本の尾根筋のそれぞれに三〇〇―七〇〇メートルの範囲で郭が連続して並び、北側を正面にして雄大な山城の景観を呈している。中心部の本丸は、東北―西南六三メートル、幅四〇メートルの広さをもち、この東北隅に一段と高い基壇の上に虚空蔵堂がある。この西に二ノ丸（東西七〇メートル、幅一二メートル）、東に東西五〇メートルの三角形の通称安中郭が配置されている。各所に連続堀切、連続竪堀、畝状の遺構、横堀、馬出など戦国城郭の最高度の技術が施されており、南側が国道一八号バイパスで一部破壊されているものの、保存状態は非常によい。大手虎口は、東北の尾根伝いにあり、高梨子（たかなし）方面の旧東山道に通じている。

出典　平凡社「日本歴史地名大系」