某某(読み)ナニガシクレガシ

デジタル大辞泉 「某某」の意味・読み・例文・類語

なにがし‐くれがし【某】

[代]だれそれ。なにがしそれがし。
「―と数へしは頭中将随身、その小舎人童こどねりわらはをなむ、しるしに言ひ侍りし」〈夕顔

なにがし‐それがし【某】

[代]だれそれ。なにがしくれがし。
「―留めて侍れば」〈狭衣・一〉

ぼう‐ぼう【某某】

だれだれ。名前が不明な場合や名前を伏せる場合などに用いる。
「―を殺したと言っているではないか」〈芥川侏儒言葉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「某某」の意味・読み・例文・類語

なにがし‐かがし【某某】

  1. 〘 代名詞詞 〙 他称。だれそれ。某々。身分地位などが明らかで、特定の固有の名前を問題にする必要のない時などに、人名を列挙する代わりに用いる。なにがしくれがし。なにがしそれがし。
    1. [初出の実例]「さるべくおとなしき人々、なにがしかがしといふいみじき源氏の武者達を」(出典:大鏡(12C前)一)

それがし‐それがし【某某】

  1. 〘 代名詞詞 〙それがしかれがし(某彼某)
    1. [初出の実例]「人やあるとめされければ、某々(ソレガシソレガシ)と面々に名乗申しけり」(出典:金刀比羅本保元(1220頃か)中)

なにがし‐くれがし【某某】

  1. 〘 代名詞詞 〙なにがしかがし(某某)
    1. [初出の実例]「なにかしくれかしと数(かず)へしは、頭中将の随身」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕顔)

なにがし‐それがし【某某】

  1. 〘 代名詞詞 〙なにがしかがし(某某)
    1. [初出の実例]「なにがしそれがし留(とど)めて侍れば」(出典:狭衣物語(1069‐77頃か)一)

ぼう‐ぼう【某某】

  1. 〘 名詞 〙 複数の人たちを、その名前を呼ばないで表現する時に用いる語。だれそれ。
    1. [初出の実例]「某々を殺したと言ってゐるではないか?」(出典:侏儒の言葉(1923‐27)〈芥川龍之介〉自由)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

部分連合

与野党が協議して、政策ごとに野党が特定の法案成立などで協力すること。パーシャル連合。[補説]閣僚は出さないが与党としてふるまう閣外協力より、与党への協力度は低い。...

部分連合の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android