柱絵(読み)ハシラエ

デジタル大辞泉 「柱絵」の意味・読み・例文・類語

はしら‐え〔‐ヱ〕【柱絵】

寺院などの柱に描かれた絵。
浮世絵版画、特に錦絵で、横12~13センチ、縦約70センチの判型のもの。柱に掛けて装飾とする。鳥居清長などが多く描いた。柱隠し

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精選版 日本国語大辞典 「柱絵」の意味・読み・例文・類語

はしら‐え‥ヱ【柱絵】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 寺院の柱に描いた蓮、仏像などの絵。
    1. [初出の実例]「沈・紫檀を高欄にし、〈略〉柱ゑなども世の常ならず」(出典:栄花物語(1028‐92頃)歌合)
  3. 浮世絵版画の判型の一つ。縦二尺三寸(約六九センチメートル)、横四寸(約一二センチメートル)の丈長奉書を横に四つに切った大きさ。柱がくしの絵、柱掛けともいわれ、掛物に仕立てて柱に掛けた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「柱絵」の意味・わかりやすい解説

柱絵
はしらえ

仏教寺院,なかでも阿弥陀堂や塔などの内部の柱,特に四天柱の表面はそれぞれの堂にふさわしい仏,菩薩の尊像画や装飾文様で飾られることが多く,扉絵などと並んでこれを柱絵という。奈良時代の栄山寺八角堂,平安時代の醍醐寺五重塔,平等院鳳凰堂,富貴寺阿弥陀堂,鎌倉時代の西明寺三重塔などの柱絵が代表的な遺例。文様帯をはさんで上下数段に区切り,両界曼荼羅中の諸尊像を一定の方式に従って配する場合が比較的多い。なおこれとは別に江戸時代に掛幅に仕立て,柱掛けにした細長い画面形式の浮世絵も柱絵と称した。

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世界大百科事典(旧版)内の柱絵の言及

【浮世絵】より

…また政信は,みずから版元奥村屋を経営したように,企画力と実行力に富み,版画表現の新機軸をつぎつぎと打ち出し,長期不況の時期にあってよく浮世絵の活況を持続させた。たとえば,西洋画の透視遠近法をいち早く取り入れて〈浮絵(うきえ)〉という新しいジャンルを開発したり,画面の比率が極端に縦に長い〈柱絵(はしらえ)〉とか,細判を3図分横につなげて一連とする三幅対物などを考案,流行させている。その弟子の利信(生没年不詳),あるいは西村重長が政信と並行して活躍,ほかに鳥居派様式を形式化させた2代清信,2代清倍の役者絵が一般の支持を集めて多産された。…

【奥村政信】より

…以後,墨摺絵,丹絵,紅絵,漆絵,紅摺絵と浮世絵版画の初期の発達段階をすべて経験し,終始中心的な人気絵師として活躍,錦絵時代に入る前の年に没している。得意とした画域は美人画,役者絵,武者絵,花鳥画,風景画と広く,西洋画の透視遠近法を応用した浮絵(うきえ)を工夫,あるいは極端に縦長な画面の幅広柱絵という判式を創案して,〈浮絵根元〉〈はしらゑ根元〉などと自称した。こうした自己宣伝の癖は,享保(1716‐36)の中ごろから自ら絵草紙問屋奥村屋を経営したことと無縁ではない。…

※「柱絵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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