核オーバーハウザー効果(読み)カクオーバーハウザーコウカ

化学辞典 第2版 「核オーバーハウザー効果」の解説

核オーバーハウザー効果
カクオーバーハウザーコウカ
nuclear Overhouser effect

略称NOE.二つの核が空間的に近い位置にあり,双極子相互作用が強いとき,一方の核の共鳴を飽和させると,他方の核のシグナル強度が増加または減少する現象をいう.13C NMR測定の際,1H 核を照射して飽和させる(ノイズデカップリング)ことにより,水素と結合している炭素のシグナル強度を上げることができる.また,NOEは核間距離の6乗に逆比例するため,分子構造解析にも利用される.この現象を二次元NMRに適用したのがNOESYスペクトルであり,距離的に近い核に由来するシグナルが相関ピークとして観測される.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の核オーバーハウザー効果の言及

【核磁気共鳴】より

…さらにメチレンプロトンのシグナルの積分強度が非照射のときの強度の最大1.5倍という。この強度の増加を核オーバーハウザー効果nuclear Overhauser effect(略称NOE)という。NOEは2本以上の結合をへだてていても空間的に近い核の間に起こるので,分子の立体構造の研究に用いられる。…

※「核オーバーハウザー効果」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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