出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
… また中国では古来,邪気を払いのける力が桃に宿っていると信じられてきたので,厄よけの符も桃の木で作られることが多い。これを桃符(とうふ)といい,桃の木片に厄よけの文字を書いて門にかけたのが,門聯(もんれん)のはじまりだといわれる。しかし,紙に書かれた護符の中では,道教の本山ともいうべき張天師が発行した符は中華人民共和国以前の長江(揚子江)流域では最も威力があると信じられていた。…
…対句を墨書するので対聯ともいう。その起源は,桃の木の板に神荼(しんと)・鬱塁(うつるい)2神の名を書いて門側にかけ魔よけとした〈桃符〉に発し,10世紀以後に蜀の王孟昶(おうもうちよう)が桃符の上にみずから〈新年納余慶 佳節号長春〉と書いたのが始まりとされる。商家では〈発福生財 大吉大利〉,寺院では〈境寂門天籟 心空転法輪〉などと書いたりしたが,現在では〈政策落実家家喜 安定団結処処紅〉などと時代を反映したものが多い。…
…桃の枝や棒を死のけがれを払うために用いるという記事は《左伝》《周礼》《礼記》などに見える。漢代には桃の木で作った人形を新年の門口に懸けて邪気を払うという風習が盛んになり,のちには必ずしも桃の木に限らぬが〈桃符〉と呼ばれるお札が正月の門口に貼られた。桃を仙果だとし,それを食べることにより長生が得られるという伝承は,南北朝以降,道教的な色彩の強い文芸の中に多く出現する。…
…古くから桃が邪気をはらうと信じられ,その枝で作った〈桃梗(とうこう)〉〈桃人〉を門に立てる風習があった。これがのちに意匠化されて〈桃符〉や〈桃板〉となり,さらにめでたい文字を書いた〈春聯(しゆんれん)〉と〈神荼(しんと)・鬱塁(うつるい)〉の二神を描いた〈門神〉に変化したと考えられる。この二神は,東海の度朔山の大きな桃樹の下にいて,人を害する鬼(き)を葦で縛(しば)り虎に食わせるという。…
※「桃符」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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