① バラ科の落葉小高木。中国黄河上流地域原産で、古くから日本に渡来していたらしく、彌生時代の遺跡からも核が出土する。食用の記録は正倉院文書、延喜式などにみられる。現在広く栽培される品種は明治以降ヨーロッパ・中国からの導入品種から改良によってあらたに作出されたもの。また、古くから花を観賞する品種も多い。高さ約五メートル。葉は披針形または長楕円形で長さ一〇~一六センチメートル、先はとがり、縁に細鋸歯(きょし)がある。春、葉に先だって、淡紅色または白色の五弁花を開く。果実は球形で大きく、核がある。果肉はやわらかく美味。多汁で、生食や缶詰にされる。材は黄色で細工物に用い、核は漢方で桃仁(とうにん)といい、せきどめに用いる。葉は浴湯に入れ、これを桃湯という。みきふるぐさ。みちとせぐさ。みちよぐさ。《 季語・秋 》