桑名宗社(読み)くわなそうしや

日本歴史地名大系 「桑名宗社」の解説

桑名宗社
くわなそうしや

[現在地名]桑名市本町

ほん町西南端にあり、旧県社。式内桑名くわな神社(三崎明神)と式内中臣なかとみ神社(春日明神)とを併祀すると伝える。祭神は天津彦根命・天久久斯比乃命・天日別命など。「延喜式」神名帳に「桑名神社二座」とあり、天津彦根命と天久久斯比乃命の二柱である。「宝興山記」(「桑府名勝志」所収)には「三崎明神ハ益田の地祖神」といわれ、天久久斯比乃命は桑名郡開発の桑名首の祖神であるとされている。春日明神は永仁四年(一二九六)に奈良の春日大社から勧請した(久波奈名所図会)以後、三崎春日とも桑名春日とも、単に春日ともよばれ、桑名宗社の名称は江戸時代末期か明治初年から使用されたと思われる。桑名城下の総鎮守として町民から信仰された。摂社に母山もやま権現があり、古くから当所にあった地主神と伝えられている。末社に山ノ神ほか多数、別当仏眼ぶつげん院。社伝によれば貞和二年(一三四六)室町幕府より神領寄進、応永二年(一三九五)・永正六年(一五〇九)・天文二〇年(一五五一)にそれぞれ遷宮、元亀元年(一五七〇)織田信長より神領寄進があった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android