桜谷(読み)さくらだに

日本歴史地名大系 「桜谷」の解説

桜谷
さくらだに

呉羽山くれはやま丘陵の東側、五艘ごそう安養寺あんようじ一帯の谷間を称する。桜樹が多く、江戸時代一目千本の花の名所とされた。富山八代藩主前田利謙の生母自仙院は歌人で、寛政八年(一七九六)石見人丸ひとまる明神(現島根県益田市柿本神社)から土を取寄せて桜谷の一隅に盛り、その上に社を建てて柿本人丸(人麿)の木彫神像を祀り、人丸堂とした。同一〇年には「桜谷八景歌」を作って奉納し、以後この社頭で和歌連歌俳諧の会などがたびたび開かれ、富山藩文芸の拠点として賑わったという(人丸堂は明治初年の神仏分離により破却)。同じ寛政一〇年、富山の町人黒牧屋善次郎の発願によって五百羅漢の造立が始まり、五〇余年の歳月をかけ、多くの人の協力を得て、長慶ちようけい寺境内の山腹に安置された。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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