改訂新版 世界大百科事典 「棚段塔」の意味・わかりやすい解説
棚段塔 (たなだんとう)
plate column
蒸留または吸収を行う塔の内部に一定の間隔で棚段を設けて気-液接触を行わせるようにしたもの。蒸留の場合には工業的に最も多く用いられている。棚段(段板,プレートまたはトレーともいう)には蒸気またはガスが通過する孔があり,棚段上に液をためるための堰および下の棚段へと液を流下させる液降下部(ダウンカマー)が設けられている。最も簡単な棚段は円形の孔(普通は径数mm)を多数あけた図のaのような多孔板であるが,多く用いられているのは図のbのような構造の泡鐘段(バブルキャップトレー)である。泡鐘のかわりに蒸気またはガス量の変動に応じて開孔度が変化するバルブトレーもよく使われている。段上を流れる液の中を多数の気泡が通り抜ける際に気-液の接触が行われるのであるが,液滴が噴霧されるようになっている特別な構造のものもある。小さな棚段塔では液降下部は管状(溢流(いつりゆう)管)となっているものが多い。
執筆者:平田 光穂
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報