出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
律令(りつりょう)制のもとで国司が田租徴収の正確を期するために管内の田地を調査させた使官。また8世紀に東大寺が寺領荘園(しょうえん)の現地に派遣した使僧を「検東大寺田使」「検田使」「田使」といったが、これも検田使の一種である。10世紀以降、荘園整理令が発せられるようになると、国司は不輸の特権をもつ荘園にしばしば検田使を入れて新規開墾田の摘発を行ったので、これを拒むために荘園領主は検田使の立入りを拒否する権限を得ようとした。これを不入権という。その後、荘園領主自らが荘園内田地の調査のために検注使なるものを派遣することが行われたが、この検注使もときに検田使とよばれた。
[虎尾俊哉]
平安時代,検田のため国衙(こくが)から派遣された役人。10世紀以降,国家の賦課体系は人身賦課から田地を対象としたものに転換するが,それにともない田地を把握するために設置された。検田使は田地の作・不作,その所在・田品・作人などを調査して検田帳を作成した。検田帳は馬上帳(ばじょうちょう)ともよばれ,検田作業は騎馬のままの検田使の目分量による,かなり粗放なものだったようである。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
…また寺社が所有の荘園の経営を行うために必要な調査を行う場合にも検田といい,その任に当たるものを校(検)田使といった。検田使の早い例としては766年(天平神護2)10月21日《越前国司解》(東南院文書)に署名した東大寺少寺主承天などの場合がある。検田の結果は検田帳あるいは検田丸帳としてまとめられ,荘園の所有と経営の基本帳簿となった。…
…(2)平安時代の中期以後に,国衙領支配のため,国衙の命令によって在地に派遣された,年に4度の使者。出挙(すいこ)使,検田使,計帳使,収納使の4使で,郡司などが任じたらしい。【早川 庄八】。…
※「検田使」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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