走行中の自動車が進路を乱すことで起きる事故を防ぐ装置。1990年代に実用化が始まった。英語名のelectronic stability controlの頭文字を取って、ESCと略されることが多い。
ESC装着車には、4輪それぞれの回転速度やハンドルの角度、車体の向きなど走行状態を監視するセンサーが備えられている。これらのデータから、カーブで道路から外れたり、滑りやすい路面でスリップ状態に入る危険があると車載コンピュータが判断すると、エンジンの出力を抑える、自動的にブレーキをかけるなどにより車の動きを修正する。たとえば右カーブで車が進路を外れて左側に膨らみかけた場合、運転者の意志とは関係なく、右前輪だけにブレーキをかけたり、アクセル・ペダルの踏み方に関係なくエンジンの出力を下げたりして、車の向きを右に引き戻すという作動を瞬時に行う。またESCは路上の障害物を緊急回避する際にも働き、回避時にスピンすることがないよう運転者の手助けをする。
ESC装着により、単独事故の発生率が約35%減少する(トヨタ自動車資料)というデータもあり、有効な予防安全(アクティブ・セイフティー)装置であるとして装着を義務化する国も多く、ドイツでは新車のESC装着率が8割に達している。日本では、搭載費用が5万~10万円程度かかるため、普及率は1~2割にとどまり、なかでも安価を売り物にする軽自動車での装着率が低い。
ESCは万能の安全装置ではなく、すべての事故が防止できるわけではないが、装着率が高まることが望まれ、国土交通省は、2012年(平成24)10月以降に販売する全面改良(フルモデルチェンジ)した新型車からESCの装着を義務化した。また既存車種についても、2014年10月以降販売分から義務化する。軽自動車については、新型車が2014年10月以降販売分、既存車種は2018年2月以降販売分から、それぞれ装着が義務化される。
ESCは同様の機能をもつ装置でありながら、メーカーによって呼び名が異なる場合がある。これが日本での普及を妨げているとの意見があるため、ESCを統一名称とすることが提案されている。
[伊東和彦]
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