日本歴史地名大系 「橘谷遺跡」の解説
橘谷遺跡
たちばなだにいせき
和泉山脈から南へ派生した支脈上にある高地性集落遺跡。頂上は標高九八メートル、麓からの比高は約六〇メートル、頂上からは紀ノ川下流平野域を一望できる。昭和五一年(一九七六)から翌年にかけて遺跡の一部が発掘調査された。頂上部では円形の竪穴住居跡三軒、頂上部のすぐ下方では四本の平行する空濠が尾根を切断する形で検出された。上幅三メートル、深さ二メートル、長さ一五―三〇メートル以上ある。そのほか中腹には隅丸方形の竪穴住居跡一軒、さらに下方には円形・楕円形の住居跡各一軒が検出された。遺物は弥生式土器・石鏃・叩石・砥石・銅鏃などがあるが、量は少ない。
紀ノ川下流平野周辺に点在する高地性集落のなかで、ある程度実態のわかる遺跡として注目される。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報