此方彼方(読み)こなたかなた

精選版 日本国語大辞典 「此方彼方」の意味・読み・例文・類語

こなた‐かなた【此方彼方】

[1] 〘代名〙 他称。
① こなたとかなた。こちらとあちら。こちら側とむこう側。
古今(905‐914)離別・三七九「白雲のこなたかなたにたちわかれ心をぬさとくだくたび哉〈良峯秀崇〉」
② ここかしこ。あちらこちら。あちこち。
源氏(1001‐14頃)夕顔白妙の衣うつ砧(きぬた)の音もかすかに、こなたかなた聞きわたされ」
③ あれやこれや。何やかや
貫之集(945頃)六「もえもあはぬこなたかなたの思ひかな涙の川の中にゆけばか」
[2] 〘名〙 右と左。右側と左側両辺両方
書紀(720)顕宗即位前(図書寮本訓)「屯倉首、命(ことお)きて竈傍(かまわき)に居(す)ゑて左右(コナタカナタ)秉燭(ひとも)さしむ」

こなた‐あなた【此方彼方】

〘代名〙 あちらこちら。
蜻蛉(974頃)中「またの日、こなたあなた、下衆(げす)の中よりこといできて、いみじきことどもあるを」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「此方彼方」の意味・読み・例文・類語

こなた‐かなた【×方】

[代]指示代名詞
こちらとあちら。
「白雲の―に立ちわかれ心をぬさとくだく旅かな」〈古今・離別〉
あちらこちら。
「み山路やゆふこえくれば里みえて―に煙たつなり」〈新続古今羇旅

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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