日本大百科全書(ニッポニカ) 「死刑台のエレベーター」の意味・わかりやすい解説
死刑台のエレベーター
しけいだいのえれべーたー
Ascenseur pour l'échafaud
フランス映画。1957年作品。監督ルイ・マル。社長夫人(ジャンヌ・モロー)とその恋人(モーリス・ロネMaurice Ronet、1927―1983)が共謀して社長殺しを企てるも、予期せぬできごとがおこって完全犯罪が破綻(はたん)していくさまをサスペンスフルに描く。25歳のルイ・マルの単独長編監督デビュー作にして、フランスの映画賞ルイ・デリュック賞を受賞、新しい映画の到来を告げる一作となった。撮影はヌーベル・バーグのカメラマンとして活躍することになるアンリ・ドゥカエHenri Decaë(1915―1987)が担当し、夜のロケーション撮影など、ざらついた質感のある画面作りで注目された。また、モダン・ジャズ・トランペッターのマイルス・デービスがラッシュ・フィルムを見ながら即興演奏したものを、音楽に使うという斬新な試みも話題になった。
[伊津野知多]