近世における検地帳の別称。語源については,水土(土地)の土を略したとか,律令時代の民部省図帳を御図帳(みずちよう)といったのに基づくともいわれる。土地台帳ともいうべきもので,一般には村単位に作成され,数冊の分冊や屋敷検地帳は別の場合も多い。記載内容は,一筆ごとに所在小字名,田畑屋敷地の種類別,上中下の品等,町反畝歩の面積,収穫米高で表す分米,耕作者(名請人(なうけにん)という)が記入され,最後に種類・品等別の小計が出され,最終的に村高が明記される。検地の手順は,手帳,野帳(のちよう),清野帳(せいのちよう),検地帳と整理される。最終的には1村につき2冊作成され,1冊は領主に1冊は村方に保存され,農民統治のもっとも基本的な帳簿となった。それは年貢諸役の賦課基準台帳であるばかりでなく,記載された名請人は耕作権を公認される代りに移動や転業,土地の売却を認められず,農民身分として固定されたからである。
執筆者:乾 宏巳
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…検地の結果をとりまとめて作成した帳簿。水帳(みずちよう)とも呼ばれている。形式には,さまざまなものがあるが,太閤検地の検地帳の形式が統一されるのは文禄検地であり,幕府検地の検地帳が統一的な形式に整えられるのは寛文・延宝検地である。…
※「水帳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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