水滸後伝(読み)すいここうでん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「水滸後伝」の意味・わかりやすい解説

水滸後伝
すいここうでん
Shui-hu-hou-zhuan

中国の口語章回小説。明末清初の陳忱 (ちんしん) の作。8巻,40回。『水滸伝』に断片的に登場する混江龍李俊の後日談で,李俊らが朝廷腐敗愛想をつかし,海外に出てシャム国の王位につき,善政を行うという物語。作者の陳忱は詩人としても名があり,顧炎武とともに詩社をつくって,清朝に仕えず明の遺臣として終ったという。本書も,鄭成功が台湾に拠って清朝に抗した事件を反映し,漢民族圧迫への反発をこめている。作者は「古宋遺民」と名のり本名を隠していたが,清末の学者兪 樾 (ゆえつ) によって陳忱であることが明らかにされた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「水滸後伝」の意味・わかりやすい解説

水滸後伝
すいここうでん

中国、清(しん)初の長編小説。『水滸伝』を受け、宋江(そうこう)の死後、生き残った英雄たちが対金(きん)和平派の奸臣(かんしん)に圧迫され、やむなく海外に脱出し、李俊(りしゅん)をたててタイ国王とするに至る経緯を描く。40回。『水滸伝』の続作中もっとも優れる。作者陳忱(ちんしん)は1608年ごろに生まれ、明(みん)の滅亡後は遺民として顧炎武(こえんぶ)、帰荘(きそう)らと驚隠詩社を結成した。その後この詩社も弾圧されたため、古宋遺民の名のもとに『水滸後伝』を著したという。字(あざな)は遐心(かしん)、敬夫ともいい、雁宕山樵(がんとうさんしょう)とも号した。

[大塚秀高]

『鳥居久靖訳『水滸後伝』全3冊(平凡社・東洋文庫)』

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