愛想(読み)アイソ

デジタル大辞泉 「愛想」の意味・読み・例文・類語

あい‐そ【愛想】

《「あいそう」の音変化》
人に接するときの態度。また、人当たりのいい態度。「店員愛想のいい店」「愛想のない返事」
人に対する好意・信頼感。「愛想を尽かす」
多く「お愛想」の形で)
相手機嫌をとるための言葉・振る舞い。「愛想を言う」「お愛想食事に誘う」
㋑客などに対するもてなし心遣い。「何の愛想もなくてすみません」
飲食店などの勘定。「お愛想願います」
愛嬌あいきょう[用法]
[補説]「愛想をふりまく」という言い方について→愛嬌あいきょうをふりまく[補説]
[類語](1愛嬌あいきょう可憐かれんかわいいいじらしいあどけない愛らしいキュートほおえましいほほえましい愛愛しいいとおしいいとしい愛くるしいかわいらしいしおらしいめんこいいたいけしとやかほのぼのほんわかなごむなごやか憎めないチャーミング癒やし系癒やすラブリーがんぜないいとけない/(3)㋐世辞べんちゃら追従おべっか社交辞令外交辞令上手仲人口/(3)㋑もてなす供応馳走ふるまう饗する相伴遇する接待歓待構いお構い接客もてなし椀飯おうばん振る舞い造作/(3)㋒会計勘定支払い精算レジ代金お代清算決済チェック締める(〆る)・料金愛想あいそ代価手数料月謝有料対価手間賃賃金使用料送料倉敷料原稿料入場料木戸銭授業料口銭湯銭運賃借り賃貸し賃宿賃店賃たなちん家賃間代部屋代室料席料席代下宿代場所代場代地代

あい‐そう〔‐サウ〕【愛想】

あいそ(愛想)」に同じ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「愛想」の意味・読み・例文・類語

あい‐そ【愛想・愛相】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「あいそう」を短く呼んだものか )
  2. 人当たりのよいさまをいう。
    1. (イ) 他人によい感じを与えるような態度。かわいらしい顔つき、やさしいもの言い、応対の仕方など。
      1. [初出の実例]「毅(き)はあいそもなう、しやれられぬ、はつたとした者ぞ」(出典:寛永刊本蒙求抄(1529頃)三)
      2. 「此内は鮓商売、宿屋ではござらぬと、あいそのないがあいそと成り」(出典:浄瑠璃・義経千本桜(1747)三)
    2. (ロ) 他人の機嫌をとるような、ちょっとした態度やもの言い。おせじ。あいきょう。
      1. [初出の実例]「夢に迄見た小歌に出会って、欠(かけ)半分の愛想(アイソ)も出ずに」(出典:油地獄(1891)〈斎藤緑雨〉八)
  3. 他人に対する親しみの気持。多く、「あいそが尽きる」「あいそを尽かす」の表現をとる。
  4. 他に対する茶菓などのもてなし。また、使いの者への心付けなど、気をきかして与える金品。「おあいそ」の形で用いることが多い。
    1. [初出の実例]「是はよい足駄ぢゃ〈略〉宿の娘がほしがる所で、愛想(あいそ)にする」(出典:歌舞伎・大雑書伊勢白粉(1696)一)
  5. ( 「あいそづかし」の略という ) 飲食店などで客に請求する勘定。また、その勘定書。もと関西の語で、ふつう「おあいそ」の形で用いる。
    1. [初出の実例]「二階の客にも十二組までお愛そ(勘定の事)も済ましたので」(出典:鱧の皮(1914)〈上司小剣〉一)

愛想の語誌

仮名で表記されるとき、「あいそ」「あいそう」「あいさう」と揺れがある。漢字表記でも、「あい」に「愛・哀」、「そう(さう)」には「相・想・崇・増・荘」といったものがあって一定しない。キリシタン資料でも開合に混乱があり、アイサウ、アイソウの両表記が見られる。挙例の「蒙求抄」のように抄物資料で仮名書きされていることなどから、本来この語は和語「あいそ」であって、後に長呼「あいそう」から、漢語と意識されるようになったものかもしれない。


あい‐そう‥サウ【愛想・愛相】

  1. 〘 名詞 〙
  2. あいそ(愛想)
    1. [初出の実例]「ならの春日のさがりまつの下で、みたるめもとは、しげんげしげんげ、あひさうしげんげの、めもとやなふ」(出典:虎明本狂言・花子(室町末‐近世初))
    2. 「ここの女房は、あまり愛想(アイソウ)がよくないじゃござりませぬか」(出典:洒落本遊子方言(1770)発端)
  3. あいそ(愛想)
  4. あいそ(愛想)
    1. [初出の実例]「何も御愛想(アイサウ)もいたしませんに」(出典:花間鶯(1887‐88)〈末広鉄腸〉中)
  5. あいそ(愛想)〔模範新語通語大辞典(1919)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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