永楽屋東四郎(読み)えいらくや・とうしろう

朝日日本歴史人物事典 「永楽屋東四郎」の解説

永楽屋東四郎(初代)

没年:寛政7.10.22(1795.12.3)
生年寛保1(1741)
安永期(1772~81)から,明治まで続いた名古屋書肆の初代。名は直郷。片野氏。代々東四郎と称す。店を東壁(璧)堂と号した。店舗は転居ののち,玉屋町下之切に続いた。初代は藩主の学問振興策に応じ,岡田新川など藩儒,藩士の著書を出版し,藩校御用を務めたという。永楽屋は尾州書林仲間の公認(1794)により地歩を占め,江戸の蔦屋との提携ののち,美濃大垣と江戸に出店を持った。文化期(1804~18)に次いで天保4(1833)年ごろ日本橋通本銀町2丁目に構えた江戸店は,数年のうちに江戸書物問屋に加入した。三都に並ぶ大店になるには,初代と,「文屋古文」の狂名を持つ2代善長(生年不詳~1836)の力に拠るところが大きい。3代は善教,4代は善功である。刊行書は本居宣長一門の国学書,横井也有鶉衣』や井上士朗『枇杷園七部集』などの俳書,『北斎漫画』他の絵本類など幅広い。<参考文献>岸雅裕「尾藩書肆永楽屋東四郎の東都進出について」(『名古屋市博物館研究紀要』7集),「翻刻『東壁堂蔵版目録全』(同8集)

(安永美恵)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「永楽屋東四郎」の解説

永楽屋東四郎(2代) えいらくや-とうしろう

?-1836 江戸時代後期の版元
名古屋有数の版元をつぎ,江戸日本橋に支店をひらくなど事業を拡大,「北斎漫画」や本居宣長(のりなが)著「古事記伝」44巻などを刊行した。文屋古文(ふみのや-こぶん)の狂名で狂歌をよみ,「狂歌江戸の花」など狂歌に関する本も出版した。永楽屋は昭和26年の廃業までつづく。天保(てんぽう)7年死去。名は善長。

永楽屋東四郎(初代) えいらくや-とうしろう

1741-1795 江戸時代中期の版元。
寛保(かんぽう)元年生まれ。安永4年に名古屋で開業。名古屋藩校明倫堂の御用達。寛政7年死去。55歳。姓は片野。名は直郷。号は東壁(璧)堂。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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