江尻津(読み)えじりのつ

日本歴史地名大系 「江尻津」の解説

江尻津
えじりのつ

ともえ川の河口東岸にあった津。対岸入江いりえ浦。天然の良港としての条件をそなえた折戸おりど湾には、海上交通の要地として古代から湊が開かれていた。江尻津が史上に現れる以前の一一世紀後半、摂津住吉社の神主歌人でもあった津守国基が、安房国からの帰路駿河「入江の浦」で八日間風待ちし、その時夢告があって三保みほ明神参詣幣帛に「みをのかみすむとききてぞいり江なるなぞふねすゑて日かずへぬらむ」と書添えたという(津守国基集)。おそらくこの時代湊津の機能をもっていたのは「入江の浦」であったと思われる。国府外港としての重要な役割をもっていたと推測され、位置は巴川の河口西岸からさらに南の地域、のちの清水湊の辺りに比定される。一二世紀前半に成立したと考えられる「今昔物語集」(巻一六錯入海人依観音助存命語)に、江尻という渡場があり、巴川の河口で湊の波に打塞がれて堤のようになっていることが記され、嘉保二年(一〇九五)下野国司の任が明けて帰京する途中の中原維孝一行が堤の上を渡っている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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