法人犯罪(読み)ほうじんはんざい

百科事典マイペディア 「法人犯罪」の意味・わかりやすい解説

法人犯罪【ほうじんはんざい】

法人の業務活動としてその機関または従業者が行う犯罪。その中心は企業犯罪であるが,そのほか宗教法人・学校法人・医療法人社会福祉法人などの公益法人による犯罪も含む。現行刑法上は法人犯罪という犯罪類型はないが,刑事政策上議論の対象となっている。法人の犯罪能力に関しては判例学説争いがあるが,立法的に法人にも犯罪能力を認めて法人じたいの違法行為を犯罪化すべきとの有力な主張がなされている。
→関連項目公害罪法人

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「法人犯罪」の意味・わかりやすい解説

法人犯罪
ほうじんはんざい

法人が犯罪の主体となる場合をいう。近時,反社会的な企業活動が問題にされることが多い。しかし法人が自然人と同様に通常の犯罪の主体となりうるかについては一般に否定的に解されている (→犯罪能力 ) 。そのため,企業を構成する個人の刑事責任を追及するほかはない。これに対し,公害悪徳商法などの社会問題を背景に,企業自体の刑事責任を肯定する方向での発想転換が必要であるとする主張もある。現在のところ,両罰規定による業務主体処罰規定により,従業者個人の刑事責任とリンクされた形で法人が処罰される場合が認められているにすぎない。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android