法吉郷(読み)ほつきごう

日本歴史地名大系 「法吉郷」の解説

法吉郷
ほつきごう

現松江市法吉町を中心とした地域に所在したと推定される国衙領。郷内にあったとみられる比津ひつ村は、現在の比津町・比津が丘ひつがおか付近に比定される。建久五年(一一九四)三月日の出雲国在庁官人等解写(出雲国造系譜考)には在庁官人勝部孝光の署名があり、その裏側に「法吉郷司」と記される。おそらく勝部孝光の曾祖父あたりの者が古代の島根郡法吉郷(和名抄)の一部を開発し、法吉郷の領有権を認められて法吉郷司に任命されたとみられ、これは時期的には一一世紀中頃のことであったと推測される。建長元年(一二四九)六月日の杵築大社造営所注進状(北島家文書)では、相撲役を勤仕する国衙領の一つとして「法吉・比津村」とみえる。


法吉郷
ほつきごう

和名抄」所載の郷。諸本とも訓を欠いているが、ホッキであろう。「出雲国風土記」によれば島根郡八郷の一つで、郡家の西一四里余に郷長の家があり、地名は宇武賀比売命(神魂命の子)が法吉鳥に変じ当地に座したことに由来するという。法吉社は「延喜式」神名帳に法吉神社とあり、現松江市法吉町の法吉神社とされる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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