…唯識宗,慈恩宗などともよぶ。法相とは諸法つまり万象が有する本質の相状のことで,識以外の何物も存在しないと説くのがインドで成立した唯識派つまり瑜伽行派であり,窺基は師の玄奘が訳出した《成唯識論》の注釈たる《成唯識論述記》などを著し,法相を五位百法に分類し分析的に説明した。玄奘と窺基が唐の高宗の厚い信任を得たことから,法相宗は一世を風靡したが,その教義がインド仏教を直輸入した色彩が濃く,教理組織が繁雑をきわめたこともあり,武周朝(690‐704)に法蔵の華厳宗が隆盛になるにしたがい,宗派としてはしだいに衰えてしまった。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」