国指定史跡ガイド 「法隆寺旧境内」の解説
ほうりゅうじきゅうけいだい【法隆寺旧境内】
奈良県生駒(いこま)郡斑鳩(いかるが)町法隆寺山内にある飛鳥時代の寺院跡。矢田丘陵南東麓に位置し、現在は聖徳宗の総本山で「斑鳩寺」ともいう。発掘調査は1934年(昭和9)から幾度か実施され、1951年(昭和26)に国の史跡に指定された。主要伽藍(がらん)は中門を入って東に金堂、西に五重塔、中央後方に大講堂、それに取り付く回廊からなる西院(さいいん)と夢殿を中心とした東院(とういん)に分かれ、さらに南大門の北東の子院、普門院の南側に若草伽藍と称される一角がある。西院の旧寺地はその北端がおよそ上御堂(かみみどう)と円成院の背後付近を結ぶ線に、南端は南大門に、東西両端は東西大門にいたり、若草伽藍の大半がその南東部に含まれると推定される。中門前には当初の築垣の痕跡が残る。聖徳太子が601年(推古天皇9)に造営したとされる斑鳩宮の西方に、法隆寺・中宮寺などの斑鳩伽藍群が建立されたと伝えられ、発掘調査によって宮は現在の東院伽藍の場所にあったことが判明した。東院の旧寺地は南北は子院、北室院裏の道路から南大垣にいたり、東西は西大垣から中宮寺境内の西方にいたる間と推定される。この一帯の地域は旧境内として上代寺院史上重要であるばかりでなく、金堂・五重塔・夢殿などの建物は創建の姿をとどめ、さらに斑鳩宮跡・若草伽藍跡を含んでいることなどから、歴史的価値がきわめて高いとされている。法隆寺大宝蔵殿では彫刻・工芸など、多岐にわたる仏教資料が公開されている。1993年(平成5)に「法隆寺地域の仏教建造物」として、世界遺産に登録された。JR関西本線法隆寺駅から徒歩約10分。