初めの寺地は、現在地東方約五五〇メートルの
「和州旧跡幽考」には「むかしの跡は法隆寺の東の田中につゐぢの跡のこれり」と記しており、いま旧殿・
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奈良県生駒郡斑鳩(いかるが)町にある聖徳宗(もとは法相宗,真言宗)の尼寺。中宮尼寺,斑鳩御所ともいう。聖徳太子建立七ヵ寺の一つ。創建当初は現在地の東500mほどの所にあり,16世紀後半ごろに移転したようである。621年(推古29)聖徳太子の母穴穂部間人(あなほべのはしひと)皇女が亡くなった後,その宮を寺に改めたと伝える。葦垣,岡本,斑鳩の三つの宮のなかに位置するので中宮(なかみや)寺というとの説もある。平安時代の末には衰退したが,13世紀後半に西大寺の叡尊(えいそん)の指示で信如が復興した。信如は法隆寺の宝庫から《天寿国繡帳(てんじゆこくしゆうちよう)(天寿国曼荼羅)》を得て,京都で模造している。天文年間(1532-55)に伏見宮貞敦親王の娘尊智が住持してより皇室もしくは宮家から入室する比丘尼(びくに)御所の寺格となり,1889年門跡(もんぜき)を称する。本尊の菩薩半跏像(国宝)は,寺伝に如意輪観音とされているが,近年は弥勒菩薩像と呼ばれている。像高87.9cm,流麗優美な木造の半跏思惟(はんかしい)像で,《天寿国繡帳》(国宝)とともに飛鳥文化を代表する遺品である。
執筆者:中井 真孝
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奈良県生駒(いこま)郡斑鳩(いかるが)町法隆寺にある寺。法隆寺を中心とする奈良仏教系の聖徳(しょうとく)宗に属する門跡尼寺(もんぜきにじ)。山号を法興山という。別称は中宮尼寺、中宮寺御所(ごしょ)、斑鳩御所といい、また法隆寺を斑鳩寺というのに対して斑鳩尼寺という。全国尼寺の総本山。本尊は如意輪観音(かんのん)。寺の創建に関しては諸説あるが、寺伝では、596年(推古天皇4)、聖徳太子は母の用明(ようめい)天皇皇后(穴穂部間人(あなほべのはしひと)皇女)のために中宮を建て、母没後、その菩提(ぼだい)を弔うために御所を寺刹(じさつ)にしたといい、母を開祖として中宮寺(なかみやでら)と号した。古くから聖徳太子ゆかりの尼寺として栄えたが、鎌倉時代には衰微。江戸時代に復興し、その門跡も代々伏見宮家から迎えられた。現存の建造物はそのほとんどが江戸時代以後のもの。本尊の木造菩薩半跏(ぼさつはんか)像(寺では如意輪観音像というが、一般には弥勒(みろく)菩薩とみられている)、天寿国繍帳(てんじゅこくしゅうちょう)(以上2点は国宝)、紙製文殊(もんじゅ)菩薩立像、紙本墨書『瑜伽師地論(ゆがしじろん)』(以上2点は国重要文化財)などの貴重な文化財が所蔵されている。菩薩半跏像は思惟(しい)半跏の優美な像で、京都広隆寺の弥勒菩薩半跏像とともに飛鳥(あすか)後期の名品として有名である。また天寿国繍帳は、絹布地に色糸で極楽浄土を刺繍(ししゅう)したもので、聖徳太子追善のために製作されたという。わが国最古の刺繍物であるが、現存するのは数個の断片である。
[里道徳雄]
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鵤(いかるが)尼寺・法興尼寺とも。奈良県斑鳩(いかるが)町にある聖徳宗の尼寺。聖徳太子の母穴穂部間人(あなほべのはしひと)皇后の宮跡に太子が建立したと伝える。はじめ現在地の東方にあり,四天王寺式伽藍配置だった。1274年(文永11)当寺に住した興福寺の尼信如(しんにょ)が法隆寺綱封倉から天寿国曼荼羅繍帳を発見し,その修理を行うなど復興を図った。以後たびたび火災にあい,16世紀の天文年間に法隆寺東院の山内子院であった現在地に移り,やがて宮家の皇女が住持を勤めた。寺跡は国史跡。
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…621年(推古29)聖徳太子の母穴穂部間人(あなほべのはしひと)皇女が亡くなった後,その宮を寺に改めたと伝える。葦垣,岡本,斑鳩の三つの宮のなかに位置するので中宮(なかみや)寺というとの説もある。平安時代の末には衰退したが,13世紀後半に西大寺の叡尊(えいそん)の指示で信如が復興した。…
※「中宮寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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