精選版 日本国語大辞典 「泥・滞」の意味・読み・例文・類語
なず・む なづむ【泥・滞】
〘自マ四〙
① 人馬や舟などが前へ進もうとしても、なかなか進めないでいる。進まないで難渋する。
※土左(935頃)承平五年二月七日「きときてはかはのぼりぢのみづをあさみふねもわがみもなつむけふかな」
※太平記(14C後)四「馬は雪に泥(ナヅン)で懸引も自在ならず」
② 物事がなかなかうまく進行しなくなる。
※蜻蛉(974頃)中「水まかせなどせさせしかど、色づける葉のなづみてたてるをみれば」
③ しようとしていることが、うまくいかずに思い悩む。思い煩う。
④ ある物事に関わり続ける。こだわる。執着する。
※万葉(8C後)一〇・二一二三「大夫(ますらを)の心は無くて秋萩の恋のみにやも奈積(ナづみ)てありなむ」
※徒然草(1331頃)一一五「死を軽くして、少しもなつまざるかたのいさぎよく覚えて」
⑤ ひたむきに思いを寄せる。執心する。惚れる。
※評判記・役者評判蚰蜒(1674)伊藤小太夫「こちのこうのうんざいらが、よけいもないむねの中へさへとつかとなづんで、うごきがとれず」
⑥ なれ親しむ。なじむ。
※歌舞伎・当龝八幡祭(1810)序幕「手飼ひの狆も此やうに、主をば知って馴れなつみ」
※黴(1911)〈徳田秋声〉三三「進行するにつれて原文に昵(ナヅ)んでも来たし」
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