洞窟画(読み)どうくつが(その他表記)cave painting

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「洞窟画」の意味・わかりやすい解説

洞窟画
どうくつが
cave painting

原始人,未開人が洞窟内部に描いた絵 (→岩壁画 ) 。特にフランス南西部とスペインのカンタブリカ地方にある旧石器時代の洞窟には人類最古の絵とされるすぐれた壁画が多数みられる。その制作年代は旧石器時代後期のオーリニャック期 (前3万~2万 5000頃) からマドレーヌ期 (前2万~1万頃) にわたる。オーリニャック期の壁画は初期のマカロニ式をはじめデッサン風の線刻画が多く,その表現は単純かつ象徴的であるのに対し,マドレーヌ期のそれは赤,褐色,黄,黒など多彩な色を用い,動きのある瞬間がきわめて写実的に描かれている。これらの絵はいずれも洞窟の奥部にあり,その主題トナカイヤギ野牛,馬,マンモスなどの動物が大部分を占める。これらのすぐれた洞窟画のある遺構としてはオーリニャック期ではクーニャック,ペシュ・メルル,マドレーヌ期ではニオー,ラスコー,フォン・ドゥ・ゴーム,アルタミラなどが最も著名である。以上のほか中石器時代末期から新石器時代にかけて,東スペインのレバント地方スカンジナビア半島北アフリカ南アメリカのものなどがあり,これらの洞窟画では仮面をかぶった人物狩猟漁労舞踊戦闘などの場面を表現したものが多い。

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