日本大百科全書(ニッポニカ) 「流通団地」の意味・わかりやすい解説
流通団地
りゅうつうだんち
大都市内の中心部に分布する卸売業店舗、トラック・ターミナル、営業倉庫、卸売市場などの流通関連諸施設を、郊外に組織的に移転させた各種流通関連施設の集合体をいう。正しくは流通業務団地であり、流通センターとよばれることが多い。流通業務団地の考え方は高度成長期につくられたもので、緊迫化する大都市問題を解決する手段の一つであった。その目的は、都市内に立地する流通関連施設の郊外移転による流通関連交通の排除、急激な流通需要の増大および質的高度化に伴い、狭隘(きょうあい)化し、また老朽化した流通関連施設の拡大および近代化、大都市に直接関連しない通過型の流通交通の都市外への転移などがあげられる。法的根拠は、1966年(昭和41)に公布された「流通業務市街地の整備に関する法律」にあり、この法律の適用によって流通業務団地の造成事業が行えるようになった。また、地方自治体によっては、この法律に準じて独自に流通団地を整備しているところもある。低成長時代の現在、流通団地は新しい流通システム再構築の要(かなめ)となりつつあり、「中小企業流通業務効率化促進法」(1992)や「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」(2005)により、高速道路のインターチェンジや港湾に隣接する地域に物流・流通施設が展開している。
[野村 宏]