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海運同盟 かいうんどうめいshipping conference

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

海運同盟
かいうんどうめい
shipping conference

一つの航路に就航している定期船各社が,運賃や就航条件など船主間の利害関係の調節をはかる海運カルテル。普通,各定期航路ごとに同盟があり,加盟を希望すれば無条件で加盟が認められるオープン制と,同盟の伝統的な権益を守って一国一社以外の新規加入をきびしく制限するクローズド制がある。アメリカ積揚同盟ではオープン制,イギリス・ヨーロッパ積み極東揚げおよびイギリス・ヨーロッパ域内積揚げ同盟ではクローズド制をとる同盟が多い。日本の海上運送法は運賃および料金などに関する事項を内容とする船舶運航事業者間の協定について,ある程度独占禁止法の適用除外を認めている (28条) 。海運同盟の伝統的な性格は,(1) コンテナ船の出現,(2) 貨物配分を積揚げ地国籍船と第3国船にそれぞれ 40%,40%,20%と定める定期船同盟行動憲章条約案が採択されたことによって変化した。船舶に荷物が積込まれてから揚地で船から荷物が揚げられるまでの区間について行使された従来の同盟管轄権は,(1) によりコンテナ船規約が同盟規約に盛込まれることによって,積地内陸のコンテナ詰めの行われる地点から揚地内陸の荷渡し地点まで拡大され,(2) によって,伝統的な海運同盟では国際条約として発効する前にその内容を同盟規約に盛込む準備がいちはやく進行した。その後同盟に参加していない盟外船主のシェアが高まり,海運同盟は弱体化してきている。

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デジタル大辞泉の解説

かいうん‐どうめい【海運同盟】

同一航路に定期船を就航させている海運業者間において、相互間の競争を抑制し他者参入を制するため、運賃率・配船計画その他の営業上の事項について協定をする国際カルテル運賃同盟

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百科事典マイペディアの解説

海運同盟【かいうんどうめい】

国際定期航路別に,運賃,積荷,寄港地等を規制して過当競争を防止するために船会社が結成する国際カルテル。英語のshipping conferenceを略してコンファレンスともいう。
→関連項目海運国際カルテル

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世界大百科事典 第2版の解説

かいうんどうめい【海運同盟 shipping conference】

定期船航路における海運企業間のカルテル。定期航路の往航または復航別に結成される。定期船市場は,比較的企業規模の大きい少数の海運企業によって輸送サービスが提供される独立した供給寡占市場形態をとる各航路によって形成され,しかも社会的・商業的理由から赤字運航による欠損の累積を配船変更や係船などの臨機応変な手段によって回避できない非弾力的な市場である。したがって,輸送需要が停滞ないし減少して船腹過剰事態になると,少数でしかも力量が比較的接近している参加企業間の競争は,往々にして相互に手痛い打撃を与え,共倒れの危険すら生ずる破滅的な運賃戦争へ導かれる。

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大辞林 第三版の解説

かいうんどうめい【海運同盟】

同一の航路に定期船を就航させている海運業者どうしが、過当競争を回避する目的で、運賃・運送条件などを協定した国際的なカルテル。運賃の協定が中心なので運賃同盟ともいわれる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

海運同盟
かいうんどうめい

定期船海運において、定期船業者が運賃協定などを結び、お互いの競争を抑制し、外部からの参入を制約して市場を独占し、自らの利益を最大限に図ろうとするもの。運賃同盟ともいう。早期に成立した国際カルテルである。船舶が帆船から汽船に転換し、またスエズ運河の開通(1869)などもあり、定期運航が行われるようになると、競争が激化した。1875年に世界最初の海運同盟であるカルカッタ同盟が結成され、それ以後世界の隅々に定期航路が開設されるとともに海運同盟は次々と生まれた。
 海運同盟は、内部規制として運賃協定、配船数の協定、積取比率(同盟各社の輸送シェア)の協定、運賃プール計算を実施し、また対外規制手段として、
(1)荷主が同盟船を利用し続ければ運賃の一部を払い戻しする運賃延戻し制、
(2)同盟船に一手船積みする契約をした荷主に運賃を割り引く契約運賃制(二重運賃制ともいう)、
(3)同盟航路に割り込んできた盟外船を低率運賃で排除する闘争船の配船、
などを行っている。海運同盟には、ヨーロッパを基点とし、新規参入を著しく制限しているクローズド・コンファレンスclosed conference(閉鎖同盟)と、アメリカを基点とし、アメリカの独占禁止法の関係から新規参入を原則として認め、さらに運賃延戻し制や闘争船を実施できないオープン・コンファレンスopen conference(開放同盟)とがある。後者では同盟船の脱退や盟外船の割り込みが相次ぎ、賃率表が維持できない状況がおこる。
 1960年代中ごろより、先進国間の定期船はほぼ完全にコンテナ船化し、シーランド社などのコングロマリット(複合企業)が割り込んできたため競争が再開され、世界の定期船海運は大幅に再編成された。コンテナ船輸送には巨額の設備投資が必要となるため、伝統的で主要な定期船会社は船舶や施設を共同利用するスペース・チャーター方式(とくに日本)や、企業連合でそれらを共同で所有、運航、利用するコンソーシアムの結成(おもにヨーロッパ)で対抗し、その独占的地位を維持した。しかし、コンテナ船は海陸一貫輸送体制の構成部分にすぎず、海運同盟の規制力は弱まらざるをえなかった。
 第二次世界大戦後、開発途上国は「自国貨自国船主義」を掲げて自国海運を育成してきたが、1974年国連貿易開発会議(UNCTAD(アンクタッド))において、「定期船同盟憲章条約」を採択させ、途上国船の積取比率を留保した。また、台湾、中国、韓国、香港(ホンコン)、シンガポールなどの海運会社は、世界の主要な定期航路にコンテナ船を低運賃で盟外配船するようになった。
 1984年のアメリカ海運法の制定(規制緩和政策)により、1980年代は海運同盟の運賃協定の弱体化が図られ、世界最大のアメリカ航路をめぐる価格競争と参入競争が激化した。それらの結果、従来の海運同盟は統廃合されて、スーパー・コンファレンスとよばれる新しい海運同盟が結成され、また同盟船社と一部の盟外船社が協調する定期航路安定化協定が締結された。
 1990年代、海陸一貫輸送サービスのグローバル化が求められるようになったが、それは従来からの個別の船社による輸送サービスでは対応できるものではなくなり、コンテナ船社は巨大コンテナ船の運航と、複数航路のネットワーク化、そして内陸輸送の整備が求められた。それに対応できたのは、メガ・キャリアーとよばれる、世界で20社ほどのコンテナ船社であった。
 1990年代中ごろから、メガ・キャリアーは一方では輸送サービスの最適化のため、他方では利益確保のために、グローバル・アライアンスとよばれるコンソーシアムを結成した。それは、伝統的な海運同盟とは異なり、異なる地域や国の、しかも盟外船社を含む、数社のメガ・キャリアーが業務提携したものであった。それにより、特定の航路を超えた、いくつかのグローバル・アライアンスが組織されることとなった。
 アメリカは、1998年改正海運法によって、個別の船社と荷主との間で非公開の個別輸送契約を締結することを容認したものの、海運同盟など船社間協定への反トラスト法からの適用除外は維持した。EUは、2008年をもって海運同盟のEU競争法からの適用除外を廃止した。コンソーシアムについては、EU競争法から適用除外されていたが、見直し作業が行われている。
 このように、伝統的な海運同盟は解体を余儀なくされているが、世界の伝統的な大手海運会社は業務協定や業務提携をてこにして、グローバルな海上輸送サービスを提供することにおいて、その伝統的な同盟機能の維持を図っている。[篠原陽一]
『宮本清四郎著『海運同盟制度論』(1978・海文堂出版)』

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世界大百科事典内の海運同盟の言及

【海運業】より

…とくにドイツのNDL,HAPAG両社は1880年代ドイツおよび南欧,東欧から北米,南米への移民の大量輸送によって急成長した。 主要定期航路における海運競争は,他産業に先駆けてカルテル組織すなわち海運同盟shipping conferenceを各航路に生み出した。運賃率や航海数の協定,運賃共同計算などがそれであり,1875年の最初の海運同盟〈欧州・カルカッタ・コンファレンス〉ではすでに運賃延払制が採用され,1904年までに中国同盟,オーストラリア同盟,リバー・プレート(ラ・プラタ)同盟,南米西岸同盟などが相ついで結成された。…

【海運業】より

…とくにドイツのNDL,HAPAG両社は1880年代ドイツおよび南欧,東欧から北米,南米への移民の大量輸送によって急成長した。 主要定期航路における海運競争は,他産業に先駆けてカルテル組織すなわち海運同盟shipping conferenceを各航路に生み出した。運賃率や航海数の協定,運賃共同計算などがそれであり,1875年の最初の海運同盟〈欧州・カルカッタ・コンファレンス〉ではすでに運賃延払制が採用され,1904年までに中国同盟,オーストラリア同盟,リバー・プレート(ラ・プラタ)同盟,南米西岸同盟などが相ついで結成された。…

※「海運同盟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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