海洋自由論(読み)かいようじゆうろん(英語表記)Mare liberum

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「海洋自由論」の意味・わかりやすい解説

海洋自由論
かいようじゆうろん
Mare liberum

1609年公刊の H.グロチウスの著作。 1604~05年の『捕獲法論』 De jure praedaeの 12章に加筆修正したもの。万民法に従い,なんぴとも海洋の自由そして通商の自由を享受することができると説いている。 15世紀末に海洋領有を主張して東西貿易を独占したスペインポルトガルに対して,オランダの東インド貿易を支持する政治的意図があった。のちの海洋に関する国際法が,海洋を沿岸海外洋に分けて公海自由の原則を確立させるにあたり,本書は重要な出発点となった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

山川 世界史小辞典 改訂新版 「海洋自由論」の解説

『海洋自由論』(かいようじゆうろん)
Mare liberum

グロティウスの著,1609年刊。1493年の教皇勅書によるスペインとポルトガルの領土分割に反対してオランダの権益を守るために書かれ,公海自由の国際法原則確立に貢献した。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

旺文社世界史事典 三訂版 「海洋自由論」の解説

海洋自由論
かいようじゆうろん
Mare liberum

オランダの法学者グロティウスの著作
1609年刊。スペインの海洋独占に反対し,オランダを擁護,海上貿易の自由を主張した。今日の公海自由の原則を基礎づけたといわれる。

出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の海洋自由論の言及

【グロティウス】より

…これが彼が国際法に興味をもった機縁といわれる。本書の第12章は09年《海洋自由論》として公刊されたが,残部は1864年原稿が発見され,68年に公刊された。 1607年以後,彼は政治・外交の実際に参画するに至っているが,やがてゴマルス派対アルミニウス派の神学論争をめぐる政治闘争にまき込まれ,後者に好意をよせつつも宗教的寛容を説き,両派の和解に努めた。…

※「海洋自由論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android