旧日本海軍の軍令を管掌した機関。1893年(明治26)5月20日の「海軍軍令部条例」により設置され、1933年(昭和8)9月27日の「軍令部令」により軍令部と改称、45年(昭和20)10月15日廃止された。明治の海軍の建設にあたって、初めは軍令の専掌機関はなく、海軍省が軍令と軍政を一元的に管掌していたが、1884年海軍省内に外局として軍事部が設置され、初めて軍令をつかさどった。86年軍事部は参謀本部の海軍部となり、88年参軍のもとの海軍参謀本部となり、89年海軍大臣のもとに戻って海軍参謀部となったが、93年海軍省から独立して天皇に直隷する海軍軍令部となった。作戦、編制、情報、通信、戦史などをつかさどったが、1933年軍令部に改称するにあたって、海軍省との間に業務互渉規程が設けられて権限が拡大した。海軍軍令部の長は海軍軍令部長と称し、参謀総長と並んで、天皇の統帥権の最高の輔弼(ほひつ)機関であった。
[藤原 彰]
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…天皇に直隷する海軍軍令の最高統轄機関。1933年10月,それまでの海軍軍令部が軍令部に,海軍軍令部長が軍令部総長と改称され,天皇の統帥大権に関する最高の輔弼(ほひつ)機関として,陸軍の参謀本部,参謀総長と形式的にも同格になった。この改正で軍令部は,従来の国防計画,作戦計画,平戦両時における兵力使用などの統帥事項に加えて,兵力量の決定についても,その起案権を持つようになり,強大な権限を保持することになった。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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