液浸法(読み)エキシンホウ(その他表記)immersion method

デジタル大辞泉 「液浸法」の意味・読み・例文・類語

えきしん‐ほう〔‐ハフ〕【液浸法】

顕微鏡で、試料レンズとの間をレンズとほぼ屈折率が等しい液体で満たすこと。このための対物レンズ液浸対物レンズといい、開口数を増して、解像力を上げることができる。ふつうシーダー油が使われることが多いため、油浸法ともいう。

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改訂新版 世界大百科事典 「液浸法」の意味・わかりやすい解説

液浸法 (えきしんほう)
immersion method

(1)顕微鏡の分解能,すなわち顕微鏡で分解できる標本の最小距離を小さくするため,対物レンズと観察しようとする標本との間の空間を液体で満たすこと。分解能は対物レンズの開口数に逆比例し,また開口数は上で述べた空間の屈折率nに比例するので,ふつうの使用状態の空気n=1)の代りに液体(n>1)を満たすと,そのぶんだけ分解能が小さくできる。液体としてはふつうセダー油n=1.6)が用いられ,とくに液浸法用に設計された対物レンズと組み合わせると,波長0.5μmの可視光を使って0.25μm程度までの分解能が得られる。

(2)透明固体試料の屈折率測定法の一つ。試料を屈折率の等しい液体中に浸すと,試料の存在が目では認められなくなる。したがって,屈折率が異なるいろいろの液体を用意しておけば,この原理を使って試料の屈折率を求めることができる。微小な試料の場合は,試料を液体に浸し,透過光を顕微鏡で観察する。この場合には屈折率に差があると試料の輪郭に沿ってベッケ線と呼ばれる明るい線が見え,また試料と液体の屈折率が一致すると輪郭が見えなくなる。試料が結晶で,その方位がわかっている場合は,試料照明光に偏光を使うことによって常光線および異常光線に対する屈折率も測定できる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「液浸法」の意味・わかりやすい解説

液浸法
えきしんほう
immersion method

(1) 顕微鏡の分解能を大きくする方法。対物レンズと物体との間に,屈折率がレンズの屈折率に近い値をもつ液 (普通はセダー油) を満たせばよい。 (2) 結晶体の屈折率の測定法の1つ。屈折率の違ういくつかの液を備えておいて,ガラス板上でこの液に浸した試料を顕微鏡で見る。試料と液との屈折率が異なるとその境界に明るい線 (ベッケ線) が現れる。屈折率が等しい場合はこのベッケ線は見えないので,この場合の液の屈折率から試料の屈折率を知ることができる。

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