記録画像が原像の微細構造を再現する能力をいい,解像性,分解能も同意語である.1 mm 当たり識別可能な最高の平行線数で表示される.写真像の場合には,光学系の解像力と感光材料の解像力の総合で決定される.解像力の決定には,多段階の黒白の平行線をもつテストチャートの撮影により,識別可能な平行線数を求めるのが一般的方法であるが,撮影や処理条件の影響を受けるので注意しなければならない.レンズの解像力は,明るさ(F値)と用いる光の波長(λ)に逆比例し,無収差の理想レンズでF = 1.8,λ = 365 nm のとき約1500本/mm になる.感光材料の解像力は像形成物質の粒度,露出条件,処理条件で規定される.ハロゲン化銀写真材料では,一般に高感度のものほど最大解像力は小さい.解像力は,写真画像輪郭の明瞭さと微細像描写能力を表す“鮮鋭度”を評価する一つの尺度であるが,実際に肉眼で観察したときの鮮鋭度とは一致しない場合もある.解像力は空間周波数の高い領域で決められ,鮮鋭度に関係する低い空間周波数領域には無関係なためである.より定量的な評価法として,被測定計に入力される光強度分布と出力(写真濃度)との関係を各周波数について表現したMTF(modulation transfer funcition:変調伝達関数)が用いられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
在来の銀塩写真用のカメラレンズ、感光材料などの性能を表す量の一つ。細かさが段階的に変化する等間隔条線の組からなる解像力チャートの像をつくったとき、条線として見分けることができる限界の黒白1対(つい)の幅の逆数をいい、1ミリメートル当りの本数で、たとえば40本のように表示する。なおレンズなどの性能をさらによく表示するには、前記の限界値だけでなく、条線が細かくなるにつれて、その像の見分けやすさ(コントラスト)が低下していくようすを知ることが必要で、これにはOTF(optical transfer functionの略。光学的伝達関数、レスポンス関数ともいう)が用いられる。テレビやデジタルカメラなどでは、用語に「解像度」が使われる。
[田中俊一]
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…画像の鮮鋭度が高いか否かの判断は感覚的なものであるが,写真像の物理的測定から鮮鋭度に関係の深い量を求めて,鮮鋭度を客観的に扱う方法も考えられている。
[解像力]
写真像が被写体の微細な部分を画像として記録しうる能力を解像力という。解像力も撮影に用いる写真レンズ,感光材料の品種,現像処理条件によって異なるほか,被写体コントラスト,露光量,光の波長によっても異なる。…
…目の分解能は2点の場合正常視で1′,2線の場合10″~12″である。
[解像力]
写真レンズや感光材料などの細部再現能力を表す場合には,等間隔白黒縞の像をつくり,明暗の識別できる限界を1mmあたりに含まれる白黒の組の数(空間周波数)で表示することが多く,これを解像力と呼んでいる。
[テレビの再現能力]
テレビでは像の細部再現能力を垂直および水平解像度で表示する。…
…しかし一部には拡大鏡や接眼レンズのように拡大した虚像を作ってその像を目の網膜に結ばせるものもある。レンズの結像性能を表す量に解像力や分解能がある。前者は等間隔白黒縞のテストチャートの実像を作り,その明暗を識別できる限界を,1mm当りに含まれる白と黒の組の数(空間周波数という)で表示する。…
※「解像力」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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