開口数(読み)カイコウスウ(その他表記)numerical aperture

デジタル大辞泉 「開口数」の意味・読み・例文・類語

かいこう‐すう【開口数】

光学顕微鏡対物レンズ解像力を示す量の一。光軸上の物体からレンズの有効半径を見る角の正弦と、物体の存在する媒質屈折率との積。この値が大きいほど解像力がよい。NA(numerical aperture)。

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改訂新版 世界大百科事典 「開口数」の意味・わかりやすい解説

開口数 (かいこうすう)
numerical aperture

光学系の明るさおよび分解能を表す量(略号,NA)。媒質の屈折率をn,光軸上の物点から出る光線が入射ひとみ(光学系の有効口径)の半径に対して張る角をαとしてnsinαで表される。例えば顕微鏡では区別して見ることのできる物体の2点間の最小距離を解像限界と呼び,これは無収差結像の場合0.61λ/NAで与えられる(λは使用波長)。すなわち解像限界は開口数に逆比例して決まり,倍率によるのではない。顕微鏡対物レンズには倍率とともに開口数の値が必ず表示してあるのはこのためである。なお,物体の像の照度は開口数の2乗に比例する。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「開口数」の意味・わかりやすい解説

開口数
かいこうすう
numerical aperture

光学器械,おもに顕微鏡のレンズの分解能や光像の明るさを表わす数値。略号 NAを用いる。対物レンズの鏡筒に刻んであり,数値が大きいほど光学器械の性能がよい。一般に,屈折率 n の媒質中にある光軸上の物点からの光が,対物レンズの有効半径に対して入射する角を θ とするとき,開口数は NA=n sin θ で表わされる。媒質が空気のときは,n=1 であるから NA= sin θ になる。顕微鏡では開口数を増すために,対物レンズと物体のカバーガラスとの間を,屈折率の大きい液体で浸す液浸法が使われる。

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百科事典マイペディア 「開口数」の意味・わかりやすい解説

開口数【かいこうすう】

光学系の性能(明るさ,分解能)を表す量。光軸上の1点から出る光線が光学系の有効口径(入射ひとみ)の半径に対して張る角度をθ,媒質の屈折率をnとすると,n・sin θで表される。顕微鏡の場合,区別して見ることのできる2点間の最小距離は開口数に逆比例して決まるので,nまたはθを大きくすれば解像限界が上がる。油浸法はnを大きくするもの。
→関連項目顕微鏡集光器

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世界大百科事典(旧版)内の開口数の言及

【顕微鏡】より

…対物レンズの収差が十分補正されていたとしても,光の波動性のために物体の1点は幾何学的な1点に集光せず,エアリー円板Airy diskと呼ばれる円内にひろがる。このエアリー円板の半径は光の波長λに比例し,後述のレンズの開口数(NA)に反比例し,0.61λ/NAで表される。試料物体がみずから発光しているような場合,物体上の各点は独立な点光源と考えられ,このような場合インコヒーレントであるというが,その際の分解能はエアリー円板の半径そのものに等しい。…

※「開口数」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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