ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「液相成長」の意味・わかりやすい解説 液相成長えきそうせいちょうliquid phase growth 液体状態 (液相) から,温度降下や温度勾配,溶媒の蒸発などにより結晶を析出または全体を結晶化させ成長させる方法。主として次のような方法に分けられる。 (1) 溶液成長法 水あるいは金属などを溶媒に用い,溶け込んでいる溶質を析出させて結晶を成長させる。たとえば,イオン結晶やハロゲン化銀などはその水溶性を利用して水溶液から,またヒ化ガリウムやリン化インジウムなどは構成元素であるガリウムやインジウムの溶液から溶質の融点より低温で成長させる。 (2) 融液成長法 多結晶などを融点以上に熱し,溶融した状態より温度降下して再び結晶化し,均質で大きい結晶を得るものである。ブリッジマン法やチョクラルスキー法などはこの例である。 (3) フラックス法 溶融した無機塩 ( PbF2,BiF2 など) や酸化物 ( BiO3,PbO,V2O5 など) を溶媒として用いることにより,溶質自身の融点より低温で成長させる方法である。ルビー,サファイア,スピネル,エメラルドなどの人造宝石やチタン酸バリウム BaTiO3 やイットリウム鉄ガーネットなど,その種類は多い。また,溶解度の低い固体を加熱および加圧することにより強制的に溶け込ませ,その溶液から析出させる方法もあり,これを熱水合成法という。この方法で成長させた水晶 SiO2 は,振動子として水晶時計などにも用いられる。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by