淡水貝(読み)たんすいがい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「淡水貝」の意味・わかりやすい解説

淡水貝
たんすいがい

河川、湖沼などの淡水域にすむ貝類をいい、淡水性貝類ともよぶ。日本には100余種があり、一部のものは半陸性あるいは汽水性。約40種は琵琶湖(びわこ)産である。腹足類のうち、前鰓類(ぜんさいるい)はタニシカワニナカワザンショウガイなど約50種、有肺類は約25種、二枚貝類はカラスガイドブガイマシジミなど約25種である。

 日本の淡水には石灰質分が少ないので、貝殻は成長につれて殻頂部が侵されて殻皮がはがれ、白色の稜(りょう)柱層が露出したり、磨滅したりしている。変わった生態としては、タニシ、カワニナ、マシジミ、ドブシジミ胎生モノアラガイカタヤマガイマメタニシなどは卵塊を他物に産み付ける。また、カワシンジュガイイシガイ、カラスガイ、ドブガイなどはグロキディウム幼生を経て成貝になるが、その幼生は魚類の体表やえらに付着し、寄主の体液を吸って育つ。タナゴ類はこれらの貝のえらに産卵し卵を保育させるので、これらの貝と魚は共利共生の関係にある。

 淡水貝のうち、シジミ類、タニシ類は食用となり、イケチョウガイは淡水真珠養殖の母貝に利用されているが、人体および家畜の寄生虫の中間宿主となる害貝が多い。たとえば、カタヤマガイは日本住血吸虫、カワザンショウガイは大平肺吸虫、カワニナはウェステルマン肺吸虫ホラアナミジンニナは宮崎肺吸虫、マメタニシは肝吸虫、ヒラマキガイモドキはムクドリ住血吸虫、コシダカモノアラガイは家畜の肝蛭(かんてつ)の、それぞれ中間宿主となる。

[奥谷喬司]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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