日本大百科全書(ニッポニカ) 「カワシンジュガイ」の意味・わかりやすい解説
カワシンジュガイ
かわしんじゅがい / 川真珠貝
freshwater pearl mussel
[学] Margaritifera laevis
軟体動物門二枚貝綱カワシンジュガイ科の二枚貝。淡水産の種で、北海道および本州にすむが、本州では日本海側に分布し、南(西)限は山口県。シベリアにも分布する。殻長12センチメートル。殻高5センチメートル。殻は長卵形で厚質、腹縁は直線的であるが、中央がややへこむ。殻頂は前方に寄る。内面は真珠光沢が強い。山間の清い渓流で小石の間に殻の前半を埋め、後半を斜めに突き出しているさまからタチガイ(立貝)の俗称がある。この貝のグロキディウム幼生はヤマメやイワナなどのサケ科魚類のえらに付着する。すこし前までは日本の種とユーラシアの種は同一とされていたが、最近の研究で別種であることが明らかとなった。成長が遅く年に数ミリメートルしか大きくならないと思われ、老成貝は100歳とも200歳ともいわれ、貝類のなかでは長寿種である。昔、アイヌ民族はこの貝をナイフの代用にしたといわれる。
[奥谷喬司]
2022年(令和4)、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)で特定第二種国内希少野生動植物種に指定され、販売や頒布を目的とした捕獲や譲渡などは原則禁止されている。
[編集部 2023年4月20日]