日本大百科全書(ニッポニカ) 「イケチョウガイ」の意味・わかりやすい解説
イケチョウガイ
いけちょうがい / 池蝶貝
Schlegel's freshwater pearl mussel
[学] Hyriopsis schlegelii
軟体動物門二枚貝綱イシガイ科の二枚貝。琵琶湖(びわこ)特産の淡水種で、淡水真珠養殖のため霞ヶ浦(かすみがうら)にも移植されて増殖されている。水深2メートルぐらいの湖底にすみ、泥中に潜る。殻長23.5センチメートル、殻高13センチメートルになり、方形で膨らみは弱く殻は厚い。殻皮は幼いうちは黄緑色であるが、成長すると黒漆色になる。また幼時は背縁上に翼状の突起があるが、成長すると失われる。殻頂近くに斜行するうねが数本ある。殻内面は白い真珠光沢があり、主歯は大きく後側歯も長く明らか。5~7月ごろ親貝の育児嚢(のう)内にグロキディウム幼生を生じ、これが水中に出て、タナゴ、モロコ、ヒガイなどのえらに付着して成長し、10日後には離れて着底する。淡水真珠養殖の母貝として用いられるほか、殻は貝細工の材料とされる。琵琶湖地方ではオンガイという。
[奥谷喬司]