渇しても盗泉の水を飲まず(読み)カッシテモトウセンノミズヲノマズ

デジタル大辞泉 の解説

かっしても盗泉とうせんみずまず

孔子のどが渇いても、盗泉という名を嫌って、その水は飲まなかったという陸機「猛虎行」の故事から》どんなに困っていても、不正には手を出さないことのたとえ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

故事成語を知る辞典 の解説

渇しても盗泉の水を飲まず

いくら困窮していても、不義・不正にはいささかたりとも関わるべきではない、ということ。

[使用例] 身寄り頼りにすがって、さもしい頭も下げきれず、また、渇しても盗泉の水はくらわず――と頑固に持して[吉川英治宮本武蔵|1935~39]

[由来] 三~四世紀の中国詩人りくの「もうこう」という作品の冒頭一節。「盗泉」とは、孔子がその名前を嫌って飲もうとしなかったという伝説がある、湧き水の名前。陸機は、自分の仕えていた国が滅ぼされ、敵方に仕えざるをえなくなったときの思いを、「『渇しても盗泉の水は飲まず(いくらのどが渇いても、盗泉の水は飲まない)』とはいっても、現実には悩みは尽きない」とうたっています。

〔異形〕渇しても盗泉の水をくらわず。

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ことわざを知る辞典 の解説

渇しても盗泉の水を飲まず

どんなにのどが渇いていようと「盗泉」などという名の泉の水は飲まない。いくら困窮していても、不義・不正にはいっさい関わるべきではない。

[使用例] 渇しても盗泉の水をまずとも言うなるに、〈略〉いかで盗みして家名を汚すことの有るべきや[前田曙山*蝗うり|1895]

[解説] 孔子が盗泉という名の泉の前を通ったとき、のどが渇いていたにもかかわらず、その名の悪しきを嫌って水を飲まなかったという故事が伝えられています。盗泉は、山東省泗水県にある泉。

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